光り物再襲
私は以前渓流で釣りをしている最中に、昼に食べたサバに当たっ
てひどい
目に遭ったことがある。それから約20年後、今度は都会のど真ん
中、東京の新宿副都心でまた大変な目に遭うこととなる。
大阪から東京に出張中の出来事だった。仕事が忙しくて2時過ぎの遅い昼食となった。名の知れた和風ファミリーレストランのチェーン店で
イワシ丼というランチを食べた。寿司飯の上に生のイワシ短冊と海苔が乗っている丼だ。頼んだらすぐ出たが、トッピングのイワシが少し乾いて生暖かかった。
どうも昼に作り置きをしていたみたいだ。気にせず食べ、すぐに仕事に戻ったが、2時間ほどしたら、急に気分が悪くなったので座って休む。しかしどんどんひ
どくなるので、診療施設でもあればそこで休んだ方が良いと判断し、探しに出かけようとした...
意識が...
夢とも現実ともつかない不思議な気分から目覚めた。小春日和の明るい日差しの中、たっぷり睡眠をとった休日の遅い朝の目覚めのような心
地よい気分だった。目を開けると上からのぞき込むたくさんの顔があった。「意識が戻った! 救急車は! 動かすな!」 いろんな声が飛び交う。どうも、イ
スから立って数歩いたところで意識を失い倒れたようだが全く記憶が無い。
やがて救急車が到着し、大勢の見物人に見守られる中、担架で運ばれた。初めて乗る救急車は、渋滞を縫うように、車線変更、発進、停止を
繰り返し乗り心地は悪かった。病院に着き、診察を受ける頃に体に発疹が出始めていた。診断はイワシのアレルギー。貫禄のある看護婦さんに、もっと
高いものに当たりなさいと笑われたが、好きで当たった訳ではない。油の乗ったイワシは安くて旨くて、いつ
も食べている私の大好物なので、にわかには信じがた
いし、問診だけでろくに検査もしないこの診断には少し不満があったが、逆らう根拠もないのでおとなしく従うことにした。
初めての入院
そしてその夜、生まれて初めての1泊2日の入院を体験することになる。点滴を連続で3パックほど打たれ、途中でトイレに行きたくなる
と、犬の散歩よろしく点滴パックとチューブを連れていく。ほとんど全てが初めての体験だった。骨折で入院した外科の患者さんは明るくやたら元気で車椅子を
器用に操る。内科の患者さんにはどことなく暗い雰囲気を感じた。9時の消灯と、朝暗い時間からの検温、恐ろしくヘルシーな食事。病院は不健康な人が、健康
的な暮らしをするところだ。
翌朝最後の点滴を打つとき、すごく痛いので訴えると、例の看護婦さんに、男だったら我慢しなさい と笑われた。そん
なも
んかなと我慢してたら、腕が青く腫れ上がってきた。それを見て今度は 痛かったら言いなさい。ほんと我慢強いのね。がっはっは!
と笑った。腹が立つ
のを通り越しあきれてしまう。なんてやつだ!
こんなところにいてはたまらんと、元気になったから帰ると強く主張して、退院の許可をもらう。そしたら例の看護婦さん
帰りの新幹線でビールなんか飲んじゃだめよ! と私の考えをズバリ見透かす忠告をしてまた笑った。
実はさらに続きがあり、数年後さらに大当たりすることになる 「らんだむと〜く 青物よ
お前もか!」
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