丸竹ロッドとは
竹の種類

高野竹

矢竹

丸節竹

布袋竹

真竹

竹の採取
竹の乾燥
生地組
芽取り・袴取り
火入れ・矯め
穂先
継ぎ手
塗装
ガイドの取付
フィニッシュ













乾燥が終わり、ロッドに使う竹が決まったら、竹に均等に熱を加え、繊維を硬化させる火入れと、 熱いうちに竹の曲がりを直す矯め(ため)を行う。この作業は、丸竹ロッド作りで最も難しい作業で、しっかり火が入った曲がらない真っ直ぐなブランクを作るのにかなりの熟練が必要なため(私もまだ まだ未熟)、ブランクに使えない竹で前もって練習することをお勧めする。


火入れ


熱源

熱源は遠赤外線が多く竹の内部まで熱が通りやすい炭火が最も適している。紀州のへら竿師は炭火の熱が集まるようにカブト状のフードが上 に付いたカンテキ(火入れ用の七輪)を使うが、キャンプ用の七輪の上に耐火煉瓦を乗せて火口を絞れば使うことができる。しかし火事や一酸化炭素中毒の心配 があり、危なくて屋内ではなかなか使えない。私はガスコンロの上に載せ、火力を集めるためのフードを自作して使っている。ガスだと火力の調節も簡単で便利 だ。

炭火

バーベキュー用の南洋炭は着火は楽だが火持ちが悪くすぐに火力が落ちてしまう。特性が備長炭に似て火持ちが良いというオガ炭が価格も安 くお勧め。

カンテキ オガ炭

ガス

100円ショップで売っている50万円貯まる貯金箱を改造した。底にはガスの炎がむらにならないよう、網と穴空き金属板を取り付けた

火入れ用フード フードの底


竹の硬化

竹を回しながら表面が均等なきつね色に変わるように炎であぶる。熱を加えると表面に油が浮いてくるので、布で拭き取りながら行う。太い バット部や、節の部分は火が通りにくいのでじっくりあぶり火入れする。しかし細いトップ部分はすぐに火が通り焦げてしまうので、一カ所を強くあぶりすぎな いよう、竹を回して動かしながら遠火で慎重に行う。関東では火入れの前に竹が破裂しないよう節に穴を開ける「息抜き」を行うが、しなくても竹が爆発する事 はまずない。火入れは通常数回行うが、最初の一回目(荒火入れ)が最も重要で、全体が均一なきつね色になるように強く火を入れる。

火入れ上:火入れ後
下:火入れ前

火入れする事により、竹が硬く、丈夫になる。しかし茶色になるまであぶりすぎると、表面のパワーファイバーが剥がれ、逆にもろくなるの で注意が必要。



矯め

火入れをした箇所は、熱いうちは柔らかいので、冷めないうちに曲がりを直し竹を真っ直ぐにする。竹は真っ直ぐにしても空気中の水分を 吸って少しずつ元に戻ってしまう。このため火入れの後、風呂場など湿度の高い場所に1日放置した後で、再び火入れをして曲がりを直す矯めを行う。この作業を曲がりが出なくなるまで5日〜1週間の周期で何度も繰り返す。曲がりが出なくなる回数は 矢竹で5回、高野竹で10回位のようだ。

丸竹のフライロッドを作るとき、最初の壁は竹の曲がり直しだと思う。うまくいかず何回も火を入れているとそのうち竹が焦げてくるし、火 を充分入れずに強引に曲げる と簡単に折れてしまう。私は火入れが苦手でたくさんの失敗をした。それでも試行錯誤を繰り返していると、少しずつコツのようなものをつかんでくる。火入れ で悩 んでいる方に何かの参考や、きっかけになれば良いとの思いで、未熟な技術をあえて紹介することにした。


矯め木

矯め竹の曲がりなおしには矯 め木と呼ばれる工具 を使う。細い竹だと木綿の軍手を2枚はめて手で曲がり直しをすることもできるが、竹の直径が 8mmを越えると素手では力が入らないので必需品となる。
 矯め木の作り方はこちら
矯め木


女竹(高野竹、矢竹、丸節竹)

矯めのイメージ

全体の芯を通す

竹には節のゆがみや芽の裏側の膨らみ等があり、どんなに曲がりを戻してもパイプのような真円の円柱にする事はできない。そのため局所的 な曲がりはあっても全体で見て芯が通るよう仕上げる。節間に反射する光の筋が真っ直ぐになるように曲がりを直して全体の芯を通せば真っ直ぐに見える。

照明の反射光を使う

竹の曲がりは暗い背景で斜め上前方に照明を置き、竹の表面に映る反射光の筋を見ると見分け易い。この光の筋が直線になるように曲がりを 直す。節や節間がゆがんで左右非対称な竹でも、節間に反射する光の筋が真っ直ぐになるように曲がりを直して全体の芯を通せば真っ直ぐに見える。


最初は節間の曲がりを直す

節間の部分を真っ直ぐにしたら次に節の曲がりを取る。それができたら次の節間に移る。節の前後の曲がりの強い竹や芽の裏側の膨らみが大 きく左右非対称な竹 は、表面を真っ直ぐにするのではなく、芯が真っ直ぐ通るイメージで曲がりを直す。慣れないうちは、節の前後の節間を直線にした後で、節の部分のみに火を入 れ両側の節間の芯が通るように節の曲がりを取るとうまくいく。 節の部分がクランクのように曲がっている竹でも全体のバランスが取れていればそれほど目立たない。




節間と節の曲がりを取ったら 次の節に移る
慣れないうちは、先に両側の 節間の曲がりを直してから節の曲がりを直す方が簡単


節周りには充分火を入れる

節周りは火が通りにくいので曲げる前に遠火で竹の芯まで充分に火を入れる。加熱が不十分だと曲げても元に戻ってしまうし、無理をすると竹が 折れてしまう。曲が りの強い竹は一気に力を入れると折れることがあるので、少しずつ力を加えながら慎重に曲がりを取る。


反対側からも見る

曲がりを直し終わったら、竹をひっくり返し反対側から見て曲がりをチェックする。

布袋竹(男竹)

硬い節の部分に矯め木をあて無理に伸ばそうとすると折れてしまう。そのため布袋竹は節の上下に矯め木をあて節の位置が直線に並ぶように 矯める。節間は完全に真っ直ぐにはならない。