完成品フライを使う手取りの白鮭を喰うキャッチ&キル私のC&R西高東低ロッドアクションフロロカーボンアトラクターフライHooking Mortality釣りと環境破壊ドライはデッドドリフト?ブラックバス問題セレクティブバーブレスフック |
採捕従事者手取川に初めて白鮭を釣りに行った。この川のサケ釣りは、手取川サケ有効利用調査実行委員会により、シロザケの有効利用調査委託という 名目で、採捕従事者を一般より募集する形で運営されている。釣り上げたサケは、メスは採卵のため全て委員会のスタッフが回収し、オスは体長測定後持ち帰ら なければならず、リリースは許されず、2尾のオスを釣り上げた時点で調査を終了して退場となる。そして、採捕従事者の当選通知にはサケの調理法が同封され ていたように、釣り上げたシロザケを食用として有効利用することも考えているようだ。 美味しいの?川に入り、ブナが入り、体にカビの生えたオスの白鮭がどれだけ美味しいかは大いに疑問だが、でも食べたことがないので判らない。今回の 釣行は2日間でメス2尾の釣果しかなく、持ち帰るオスのサケは釣れなかった。しかし調査終了時にオスサケを釣ってない人には2尾分けてくれるとのことで、 もらって帰り実際に食べて確かめることにした。何事も経験だ。もらえるサケは自由に選べる訳ではなく、私のもらった2尾のオス鮭はしっかりブナが入り、1 尾は体にカビが生えていた。こんなサケを食えるのだろうか? カビの生えたサケは皮を全て剥いで切り身にし、ムニュエル、フライ、鮭フレークを作り、もう 1尾は燻製にすることにした。 サケ料理に挑戦ムニュエル塩コショウをして、小麦粉をまぶし、軽く油を引いたフライパンで弱火でじっくり炒め、仕上げに白ワインを少量いれ、水気を 飛ばした後で、バターを乗せ、レ モン汁をかけた。これは結構いけた。 サケフライ衣を着けて油で揚げ、タルタルソースで試してみた。しかし身の厚い部分に独特の臭みがあり、あまり美味しくなく不評だっ た。 サケフレーク切り身を焼いてほぐしながらフライパンで炒めた後、塩、醤油、みりんであっさりと味付けした。鮭というより、タラのような 味だったが、ご飯の上に振りかけ て食べるのが子供達には好評だった。 スモークサーモン 3枚におろした身を、ローズマリー、タイム、ローレル、クローブ、ブラックペッパーを入れた飽和食塩水に24時間浸け、
1.5時間塩抜き、1日乾燥後、桜
のチップで2時間スモークした。60℃以下の温度で半生のモチッとした食感に仕上げるのが好きなのだが、寄生虫が心配なので、少し高めの80℃〜90℃で
2時間温燻した。味は今まで試した調理の中で最も美味しかった。 寄生虫野生の鮭には日本海裂頭条虫、アニサキス等の寄生虫が住んでいるという。今回、焼いた後の5cm角の切り身を身をほぐしながら慎重に調 べたたら、体長約1cmの細く白い線虫が5匹見つかった。野生の白鮭はしっかり火を通し、生食は避けるべきだ。調べた後の切り身は、火を通せば安心なので 全て食べた。 シロザケの味サケの漁は普通川に上がる前に行われ、川に上がったサケはイクラの取れるメス以外一般に商品価値がないとされる。私も手取のオスのシロ ザケを実際に食べてみて、その通りだと思った。工夫すればそれなりにおいしく食べられるのだが、スーパーマーケットで売っている半身500円程度の紅鮭や 銀鮭のほうが身がきれいで遙かに美味しい。オスのシロザケを食用として有効利用する考えには反対はしない。しかし釣ったオスのサケを強制的に持ち帰らなけ ればいけないルールはいかがなものか?遡上直後の魚ならまだしも、体中に白いカビが生えたオスのシロザケを持ち帰りたい人がどれだけいるだろうか?不謹慎 な言い方だが、ゴミを押しつけられたと捨ててしまう人もいるのではないだろうか?持ち帰りの強制でなく、鮭としての天命を川で全うさせることのできる、リ リースという選択子もあっても良いと思う。私のフライフィッシングの目的はサーモンフィッシングを楽しむことで、サケを食べることではない。 手取の感想混みすぎ初めて挑戦した手取のサーモンフィッシングだが、釣り場の混みように驚いた。サケが良く釣れるポイントは限られているのか、人気のある 場所は2m間隔でエサ、ルアー、フライの釣り人が混在するため、隣の人をフッキングしないように重く大きなサーモンフライを完全なオーバーヘッドでキャス トする必要がある。さらに通行人や見物人が後ろに立つためバックキャストにも非常に神経を使った。フライフィッシングは、川底までフライを沈めるためにか なり下流までフライをスイングしなければいけないのだが、両側に人がいてそれができない。せっかく遠投しても、フライが底に沈む前に回収しなければならず 結局近くしか釣れない。これらのトラブルを避けるため強いストレスを感じた。釣り区間を広げて釣り方に応じてエリアを分ける等の工夫で、ゆったりと安全で 楽しい釣り場になることを強く希望する。 手取の将来手取川のシロザケ釣りは、調査のための採捕従事者募集という建前で行われているが、 やっていることは入漁料をとって魚を釣らせる遊魚と同じだ。 外国からの安い輸入に押され、昔のように鮭漁での収入が望めない今日、 シロザケの遊魚による収入は地元にとって大きな利益をもたらすだろう。 しかし本州でシロザケが遡上するのは手取川だけではない。 休日は定員の数倍の応募がある手取川のシロザケ釣りだが、 もし他の河川でも同じように鮭釣りを解放はじめたら今のような人気が続くだろうか? 釣り人はもっと広くて環境の良い釣りに流れないだろうか? もしそんな状況でも成功したいなら、遊魚をビジネスとして捕らえる必要があると思う。 自分の土地の魚を釣らせてやってるではなく、 遠方からわざわざ足を運ぶ貴重なお客に満足を提供する意識を常に持ち、 快適な釣りができるためのルールや釣り場の整備を積極的に行うことが重要だと思う。 他のビジネスでは当たり前の考えなのだが、このような意識を持っている漁協が果たして日本にどれだけあるだろうか? 私は遊魚によるビジネスで成功を納めるのは、そういった考えを持った人達だと確信する。 |