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アメリカのブラウントラウト。ニュージーランドのレインボートラウト、ブラウントラウト。どちらも世界中のフライフィッシャーのあこが れの的だが、昔から生息しているわけではなく、人間により移植されたものだ。それだけ有名になるほど繁殖したと言うことは、生態系にかなりのインパクトが あったはずだ。そのために絶滅した種がいたかもしれないし、今も進行中かもしれない。しかし、仮にこれらの魚を有害種として駆除しようとしても、すでに手 遅れだろうし、世界中のフライフィッシャーや、フィッシングビジネスで生計を立てている人から、大きな反対があるだろう。

私は釣りは基本的に環境破壊だと思う。特に渓流等の小さな河川で、釣り人の数が増えたときに影響が大きい。たくさんの魚のいる沢も有名 になれば、すぐに魚のいない川になる。そして魚の数が減れば、放流が行われる。バスやブルーギル等の外来種はもちろんだが、在来種でも放流による生態系へ のインパクトはあると思う。サケ科の魚は同じ種でも、一生を沢で終えるもの、本流と沢を行き来するもの、湖に下るもの、海に下るもの等、場所により生態が 少しずつ異なる。それらをまったく無視した大量放流は、長い時間をかけて培ってきた、その環境に合わせた特異性を失わせてしまうのではないだろうか? 放 流される数も問題だ。魚食性を持つトラウト類は、川の食物連鎖の最上位に位置するため、自然環境で生息できる数は他の魚に比べ通常少ない。その数のバラン スを無視した大量放流は、川の生態系にダメージを与えるだろう。川や湖はトラウトや鮎のためだけにあるのではない。

都市近郊の河川の生態系は、従来の姿とはかけ離れたものになっているだろう。まるでマス釣り場の仕切のように堰堤とダムでずたずたに寸 断された河川に、トラウトと鮎で年2回に分けて行われる、川の生産力を遙かに越えた大量放流。そしてそれをさらに上回る、釣り人によるキャッチ&キル。そ れらは、私たちフライフィシャーを含む釣り人のために行われていることだ。

しかし、それでも釣りをしたいのが、私を含む釣り人の本音だろう。ダムや護岸工事に反対する環境保護者の一面と、川の生態系の破壊に加 担する矛盾を持っている。私たち釣り人にできるのは、自然保護か、破壊者の2極論を論じることではなく、自然へのインパクトを最小限にとどめて釣りを続 けられるような、フィッシングスタイルと河川・湖の運用方法を模索して確立していくことではないだろうか? 私は下記のような案が良いのではと思う。

河川の管理

河川・湖の管理運営を漁協だけでなく、国または自治体により、遊漁・自然保護双方の観点で、一部の利害に偏らない広範囲で統括的な管理 ができるようにする。灌漑目的で水利組合が管理している野池・水路等も管理対象とし、一方的に釣り禁止するのではなく、遊漁可能な場所は、釣り場として使 えるよう整備を行う。

固有種の保護

地域特有の固有種が生息していて、釣りまたは放流により絶滅が危惧される河川・湖は、禁漁区とする。また自然繁殖が確認、あるいは期待 される源流部や沢等にも終日禁漁の繁殖区域を設けて魚資源の増殖を図る。そして、それらを守らない違反者には法的な罰則を設ける。

キャッチ&リリースの導入

釣り場を、キャッチ&リリースとして放流量を抑え、環境へのインパクトをできるだけ少なくする。どうしても魚を持ち帰りたい餌釣り・鮎 釣り師のために別料金の放流キャッチ&キル区間を設けて、釣り人同士のトラブル防止、及び徴集する入漁料の公平化を図る。放流量の少ないC&R区間の入漁 料は当然安くするべきだし、アマゴやイワナで徴集した入漁料をアユの放流に回すのも止めて欲しい。