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フロロカーボンとは

最近フライフィッシングでもフロロカーボンティペットが注目されてきたようだ、私は呉羽化学のシーガーというフロロカーボンのハリスを ティペットとして20年以上前から使ってる。フロロカーボンティペットのメリットは

  1. 硬くて強いため、鋭い魚の歯や、岩でこすれてもナイロンに比べ傷が付きにくい
  2. 伸びが少なく当たりを取りやすい
  3. 屈折率が水に近いため水中でも見えにくい
  4. 比重がナイロンより重いため、沈みやすくウェットやニンフの釣りに向いている
  5. ナイロンより安定していて劣化が少ない

なのだが、最後の「安定していて劣化が少ない→分解されにくい」性質が問題になるかもしれない。以前Urban AnglerのHPでフロロカーボンを批判する記事を見たことがある。ナイロンは釣り場に放置されても数十年で劣化・分解してしまうのに対し、フロロカー ボンは数百年から千年も分解せずに残るため、環境に悪影響を与えるのではないかという内容だった。この話が事実なら、江戸時代はおろか平安・鎌倉時代から のゴミが分解されず残っているようなもので、釣り場に放置されたフロロカーボンの釣り糸は、私達の孫の代どころか数十代先のはるか未来まで負の遺産として 釣り場に蓄積することになる。

 

釣り糸による被害

釣り場にはエサが豊富なため水鳥も多いが、 捨てられた釣り糸が水鳥の足の指や関節に絡まってしまうと、動けなくなり死んでしまうことが ある。絡まった糸が 短く、飛べる場合でも長い間に糸が足に食い込んでしまい終いには足が壊死して取れてしまうこともあるようだ。被害に遭う鳥の数がどれほどのものかは判らな い が、バードウォッチャーの間では問題として受け止められ、私達釣り師には環境破壊者のレッテルが貼られている。この問題が発生しやすいのは、主に投げ釣り だろう。ルアーフィッシングを含む投げ釣りは、仕掛けが根掛かりすると道糸から切れることがあり、数十メートルの釣り糸が釣り場に捨てられることになる。 有名な釣り場には、このように切れたと思われる道糸がたくさん落ちている。中には、キャスティングに失敗してリールに絡まったと思われる団子状になった道 糸も捨てられているが、これはいっそう鳥の足に絡みやすい。

右の写真は、足に絡まった釣り糸が木に絡み、宙づりになって死んだチュウシャクシギ。 相模川河口で撮影

 

フロロカーボンでも?

フロロカーボンの釣り糸は高価で硬いため、幸い投げ釣りの道糸には使われない。通常短いハリスだけに使われるため、切れたとしても道糸 ほどの影響は出ない だろう。ただ長さ数メートルのハリスでも分解されず、蓄積されるとしたら、問題にならないだろうか? 

フライフィッシングの場合ティペットの長さは通常、数十センチと他の釣りに比べ非常に短い。私の経験では根掛かり、魚によるラインブレ イクでティペットを 失うことはまれである。しかしキャスティング中にバックの木とか岩とかの障害物に引っかけてティペット切れを起こすことは結構あるので、フライ人口が増え てきて、さらにそれが数百年も蓄積するのであれば、やはり問題にならないだろうか? 

私は今まで主に管理釣り場とコイの釣りを中心に、フロロカーボンティペットを使ってきたが上記の事を考えると、最近のフライフィッシン グでのフロロカーボ ンティペットの流行とは反対に、なるべく使わないほうが良いのではと考え始めた。

フロロカーボンは大変優れた性質を持っているが、細いラインにはあまり向いてないようで、6X以下の細いティペットの場合は他の材質の 方が強いみたいだ。 釣具店には0.8号より細いフロロカーボンのハリスをあまり置いていないのもそのせいだろう。フロロカーボンは太いティペットの大物狙いには有利だが、渓 流で小さなフライの釣りには向いていないと思う。

フロロカーボンのティペットを使う場合は使い終わり交換したティペットは間違っても釣り場に捨てずに必ず持ち帰りたい。 あなたの捨て たティペットは千年 先まで残るかもしれない!

心配

強い・伸びないとの理由でルアーによるバスフィッシングのラインにもフロロカーボンが使われはじめたようだ。バスフィッシングはワーム やトレブルフックの プラグで頻繁にボトムを探る釣りであり、根掛かりによるラインブレイクは他の釣りに比べかなり多い。ナイロンでさえ問題にされているのに、今後数世紀も分 解しないかもしれない大量のフロロカーボンラインが川や海に捨てられ蓄積したら今後どうなるのだろうか?

 

環境への影響はどの位?

フロロカーボンは安定しているので、水に溶けだして汚染を引き起こす問題はないのだろう。環境に影響があるとすれば、鳥の足や、他の動 物に絡まったりする 事だろう。釣り糸による被害が、他の環境破壊に比べて、無視できるほど小さなものか、想像以上に大きいものなのか私には判らない。そしていくら安定してい るとはいえ、屋外に放置されたフロロカーボンの釣り糸が千年も分解せず残るとはにわかに信じがたい。本当のところはどうなんだろう?

しかし、もしこのことが事実なら、千年後の未来に、私の40代目の子孫の趣味がたまたまフライフィッシングで、かつて私も通った釣り場 でウェーディングしたら、千年前から蓄積したと思われる苔生したフロロカーボンがクモの巣のように絡まり、 とても歩きにくかったなんて事態があり得るわけだ。