アオサギの昼寝
へび
アクシデンド
トビとアマゴ
ねこが釣れた
思い出の谷
欲張りなアマゴ
鉄砲水
痛くない話



私は奥深い渓谷に一人で入るとき、恐怖感を感じることがある。それは過去に起きた、ある出来事が原因なのかもしれない。

まだ学生だったころ春休みに実家に帰省し、四万十川の支流にアマゴを釣りに出かけたときのことだ。車を止め沢に入り、釣り始め10分ほ どたったとき、突然言いようのない不快感に襲われた。目の前が暗くなり、冷や汗が吹き出し、胃がねじれるように痛くなり、もどした。これは尋常な事態では ない。人などまず入らない渓流なので、生命の危険を感じた私は大変な努力をして、ほとんどはいながら車までたどり着き。すぐに病院に向かった。もうろうと した意識で、曲がりくねった細い山道を急ぐ運転は、かなり危ないものであったろう。何度かタイヤが鳴いたのを覚えている。

しかし30分ほど走り町までたどり着く頃には、痛みも収まり、家に保健証を取りに帰る余裕ができていた。そのとき気がついたが、フライ ロッドがちゃんと車 の中にある。あのような状況にあっても手放さなかったのは自分でも驚いた。よほど無くすのが惜しかったんだろう。病院に着いた頃、今度は体中が痒くなりあ ちこちに発疹が出始めた。診断はあっけなく、昼に食べたサバ寿司に当たったらしいとのこと!


 サバ

家に帰ると両親が、「あそこの店のサバは古いから買わないように」、 とありがたい忠告をしてくれたが、食べる前に聞きたかった。 そしてその夕方。ご丁寧に、これが新鮮なサバだと、違う店のサバ寿司を買ってきて、 食べてみろと勧める。いくら食い意地の張った私でも、 さすがにあれほどひどい目に遭った後は見たくもない。 断ったら、両親は「新鮮なサバはやっぱりうまい」とおいしそうに食べていたのだが、 その日の夜、二人ともしっかりサバに当たって大騒ぎになった! どうもサバに当たる条件は鮮度だけでは無いようだ。

実はこの話、続きがあって20年後に今度は都会のど真ん中、東京の新宿副都心で大変な目に遭うこととなる。 続きはこちら(らんだむとーく)