フライキャスティング入門
ロングキャスト
ロールキャスト
スペイキャスト
プレゼンテーション
トップページ









フライキャスティング・マニュアル


つり人社 Tight Loop!フライキャスティング・ベーシックス2
つり人社 Tight Loop!フライキャスティング・ベーシックス2


つり人社 Tight Loop!フライキャスティング・ベーシックス2
つり人社 Tight Loop!フライキャスティング・ベーシックス2


つり人社 エッセンス・オブ・スペイキャスティング
つり人社 エッセンス・オブ・スペイキャスティング



フライキャスティングとは

フライフィッシングは、鳥の羽根や獣毛で作られた小さく軽いフライ(毛針)をフライライン(フライフィッシング用の道糸)の重さを利用 して、むちのように投げて釣りをする。フライラインを投げる動作をフライキャスティングといい、通常1回の振りで投げるのではなく、前後に少しずつフライ ラインを空中に延ばしていき最後に目標に向かってフライを落とす。


他の釣りとの違い

フライキャスティングとルアーキャスティング等の他の投げ釣りとの違いは、ルアーキャスティングは、ロッドの負荷がルアーの重心(点) に対 して作用するのに対して、フライキャスティングは、空中に引き出されたフライライン全体の重さ(直線)に対して作用する点にある。ルアーキャスティングは ロッドのスイングと、ルアーの負荷で曲がったロッドの復元力を利用して、ルアーをはじき飛ばす。ルアーはリリースの瞬間まで遠心力で円の軌跡を描き加速す る。この動作は、テニスやゴルフなど、他のスポーツとリストの使い方が似ているため、比較的短時間で覚えることができる。これに対し、フライキャスティン グは、ロッドティップを空中に伸びたフライラインと正反対の方向に、一直線に動かさないと、フライライン全体の重さを効率よくロッドに伝える事ができな い。この動作は、他のスポーツとかなり異なるため、修得するのにある程度の時間が必要になる。

ルアーキャスティングは、 ロッドの反発力と遠心力を利用し てルアーを飛ばす。ほとんどリストだけでロッドを振る。 フライキャスティングはロッ ドティップが直線を描くようにロッドを振ることによりフライラインを飛ばす。リストはあまり使わない。

準備


必要な道具

ロッド 釣りに使っているものをそのまま使えるが、できれば#5以 上で、あまり極端なアクションでないのロッドが良い。
リール フライラインが納まれば何でもいい。リールの重さ等のタッ クルバランスにこだわる人もいるが、リールの重さや形状は極端なものでなけれ ばキャスティングにあまり影響しない。
ライン 練習をするとラインが痛むので、使い古したラインを練習用 に使うのが良い。なければもちろん新品のラインも使える。
リーダー、 ティ ペット 通常のテーパーリーダーももちろん使えるが、練習をしてい るとすぐに先が痛むのでもったいない。私は10号と3〜4号のモノフィラメン トを2段につないだものを使っている
フライ フライをつけないでリーダーだけでキャストすると先端がす ぐに痛んでしまうので、練習のときは毛糸の束などをつけて保護する。フックの あるフライは付けない方が無難。アキュラシー(キャスティング精度競技)の練習で標的を狙う場合は、フックのベントを折った針先のないフライを使う。


練習場所

前後に障害物がなく開けている、川や池の畔、芝生の上が理想的。公園の芝生では釣針を付けていなくても竿を振る行為が危険と考える人が 多く、トラブルを避けるため練習はしない方が無難だ(野球の練習よりは安全と思うのだが)。アスファルトや、土の上での練習はフライラインの痛みが早く、 土や砂でロッドのガイドの減りも早いため、できれば止めた方が良い。


練習の前に覚えよう


グリップの位置

サムオントップ
サムオントップ

親指でグリップを押す握り方。ロッドのぶれが少なく自然にフライロッドを振ることができる、お勧めのグリップ。
Vグリップ
Vグリップ

フォワードキャスト時にリストを強烈に効かす事ができるため、遠投に向いている。
インデックスフィンガー
インデックスフィンガー

長い時間投げていると手首が疲れてしまうため、あまり勧められない。ただ、他のグリップよりバックキャスト時にリストが開きにくいため、バックキャスト でリストが開く癖のある人は、このグリップで矯正すると良いかもしれない。

リストの動作

オープンリスト
リストを最も開いた状態

ロッドをへその位置で、地面と水平になるよう軽く握ってみる。手首を動かさず腕を地面と垂直になるまで持ち上げる。腕とロッドの角度が30°位でロッドは だいたい1時の方向を向いているはずだ。この位置がバックキャストを終了して、最もリストを開いた位置となる
リストダウン
リストを最も閉じた状態

リールシートが腕に当たって、これ以上曲げられない位置までリストを閉じる。ロッドと腕が、ほぼ直線となる。初めての人はかなり窮屈な印象を受けると思 う。腕を前に倒し、ロッドがだいたい10時の方向を向いた位置がフォワードキャストを終了して最もリストを閉じた位置となる。


キャスティング


ピックアップアンドレイダウン(Pickup and Laydown)

  1. リールからフライラインを3〜5mほど引き出し、真っ直ぐに伸ばして前方に垂らす。リストを閉じて、肘の高さでロッドを水平に構 える。
  2. 腕を上げながら、徐々にロッドを加速して、ロッドが約1時の方角になった時点で力を入れロッドを強く停止する。この動作をポーズ(Pause) と呼ぶ。この時が、ロッドに最も力が加わり、最も曲がった瞬間である。この状態でロッドを停止すると、ロッドが元に戻ろうとする復元力で、ラインを後方に 飛ばしてくれる。この一連の動作をバックキャスト(Back Cast)と呼び、特にキャスティングをスタートする時に、水面からラインを引き離すバックキャストのことを ピックアップと 呼ぶ。
  3. ラインが後ろに伸び切ったら、今度は腕を前に倒して徐々に加速し行き、ロッドが約10時の位置になった時点で、バックキャストと 同じく強くポーズを行う。今度はラインは前方に飛んでゆく。この前に飛ばす一連の動作をフォワードキャスト (Forward Cast)と呼 ぶ。元あった位置にラインを落とせれば成 功。

Pick up and lay down

フォールスキャスト(False Cast)

何回か練習したら今度は、フォワードキャストで前に投げたラインが伸びきった時、再びバックキャストしてみよう。フライラインが空中に 浮いたまま前後に何回でもキャスティングを繰り返すことができる。この繰り返しのキャスティングストロークを、フォールスキャストと呼 ぶ。

スムーズにフォールスキャストができるようになれば、フォールスキャスト中に、少しずフライラインを伸ばして遠くに投げる練習をしてみ よう。この時注意するのは、遠くに投げようとして、ロッドを振り過ぎないことだ。ロッドの特性により違うがバックキャストは約1時、フォワードキャストは 約10時の位置で止めるようにする。フライラインやリーダーが地面や自分の身体に当たらずに10mほど安定して投げられるようになれば、なんとか釣りがで きるようになる。ただし実釣では、練習用の毛糸の替わりに、フライフックが付いていることをお忘れなく!特にフライフックが目に刺さったりすると大変なこ とになるので、眼鏡をかけていない人はサングラスが必要だ。また釣りに熱中して周りの人にフライを刺したりしないよう、充分気を付けよう。 


false cast

ポーズの動作

キャストの終了時にフライロッドを止めるポーズの動作は、フライキャスティングで最も重要だ。キャストはポーズで終了するが、実際にフ ライラインを飛ばす動作は、実はその後から始まる。フライキャスティングにおけるロッドスイングは、フライラインを飛ばすための動作ではなく、ロッドを曲 げる動作である。フライラインは、ポーズの後に曲がったフライロッドの復元力で飛ばされる。つまりロッドがフライラインを飛ばしてくれる。フライキャス ティングとは、ロッドがフライラインを飛ばしやすいように曲げてやるお膳立てだと考えてもよいだろう。


キャストスタート時はロッドをいきなり強く振っては いけない。空中にあるフライラインの垂みを取ってロッドにフライラインの重量を載せるイメージを持ってゆっくりと徐々に加速する。


ポーズの瞬間

多少リストを使いバット部分を前方にこじって突き刺すような感じで力を込めてロッドを曲げ、すぐに急停止する(急 加速と同時に急ブレーキをかけたようなイメージ)。この瞬間でキャストの良し悪しが決まる。タイミングは何度も反復練習して覚える しかない。

曲がったロッドが元に戻るときの反動でフライライン を飛ばしてくれる。ロッドパワーを効率よくフライラインに伝えるために、ロッドは止めたまま。振り抜いてはいけない。

ティップは反動で1回おじぎをして元に戻る。

上記解説はフォワードキャストだがバックキャストもキャストの向きが違うだけで原理とタイミングは全く同じ。ポーズの動作について、フ ライフィッシングのエキスパー トは色々な解説をしているが、実はみんな同じことを表現している。

Stop the rod スティーブ レイジェフ ポーズはスイングをストップする動作
Positive stop ジム グリーン ポーズは力を込め一気にストップする
Whomp action メル クリーガー ウォンプと声を出し力強いポーズを行う
Power snap ジョアン ウルフ ポーズの瞬間にロッドが最大限に曲がるようにスナップを使 う。


ロッドを有効に曲げるためのスイングのイメージは、

フライロッドを、先にお椀が付いた棒だと想像してみよう。お椀の中にボールをいれ、棒を振って前に飛ばしてみる。ボールがお椀からこぼ れないようにするには、手首をあまり使ってはいけない。ボールを飛ばすために、棒をボールを投げる方向に突き刺すように振るイメージを想像してみよう。こ のイメージは実際のフライキャスティングにかなり似ているので参考になると思う。




シュート(Shoot)

安定したフォールスキャストができるようになったら、フォワードキャストの後フライラインを離してみよう。飛んでいくラインに引かれ て、手元のラインがスルスルと出ていくだろう。最後のフォワードキャストを強めに行えば、フォールスキャストで少しずつフライラインを出さなくても一気に 距離を伸ばすことができる。この動作をシュートと呼び、エキス パートはシューティングテーパーと呼ばれるラインシステムで20m以上のフライラインを一気 にシュートする。

シュート


トラブル事例


ループが大きくなり、遠くまで投げられない

練習を始めたばかりの初心者が陥りやすい。オープンループといって、キャスティング時のロッドティップの軌跡が直線でなく、凸型になっ てしまい、ロッドのパワーをうまくラインに伝えることができないのが原因。






原因と対策


1.リストの使いすぎでロッドの振り幅が大きすぎる

特に、バックキャストの時リストが開きすぎに注意しよう。リストをまったく使わずにキャスティングの練習をする効果的。

2.明確なポーズがなされていない

キャストはゆっくりスタートして最後に、明確で力強いポーズを入れることで、ロッドのパワーをフライラインに伝えることができる。

3.キャストを開始するときに、フライラインが真っ直ぐになっていない

コントロールできない長さのフライラインを無理に投げようとしたり、ループがほどける前にキャストを開始したりすると、フライラインが 空中で一直線にならず、弛みができてしまい、ロッドにフライラインの重さを伝えることができない。キャストの開始時はループがほどけて直線になるように意 識する。


パチンと音がしてフライがなくなる

フライラインが完全にターンオーバーしないうちにキャストを開始すると、パワーがティペットの先端に集中して音速を超える衝撃波でフラ イがちぎれたり、 ティペットが傷んでしまう。キャストはループがほどけてから行うようにする。バックキャストは振り向いてループを確認するとよい。


フライラインやリーダーが絡まったり、体に当たる

この現象はテイリングループ(Tailing Loops)と呼ばれ、フライキャ スティングがある程度上達したときに起こるやっかいな現象だ。キャスティング時のロッ ドティップの軌跡が直線でなく、凹型になることにより起こる。



ループが横倒しになり安定しない

ロッドティップが直線に動くと言うことは、ロッドをスイングする面も平面になると言うことだ。この面が崩れると、ループが安定せず、横 倒しのループができ る。スイング面を確かめるには、壁の横に立ち、ロッドの替わりに短い棒を持ち壁と平行に、キャスティングの練習をしてみると良い。キャストのスタートから フィニッシュまで、グリップと壁の距離が同じでなければならない。特に初心者は、バックキャスト時にグリップが壁から離れる傾向にあるので、注意が必要 だ。