日ノ岬沖のシイラ 2003/7/26
場所:和歌山県日高郡美浜町大字三尾
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近場でお金のかからないフライフィッシングを目指す私だが、オフショアの大物釣りのロマンを持っていない訳ではない。釣りにあまりお金をかけたくないのと、そういった場所に行く機会がなかっただけで以前よりずっと憧れていた。今回、黒龍鱒伝さんとそのお仲間二人と同行できる機会があり、念願のてオフショアのシイラ釣りに初挑戦することになった。釣行日も給料日の翌日。絶妙のタイミングだ。阪和道を南下して、紀ノ川SAで黒龍さん一行と合流、まだ暗いうちに日ノ岬に到着してタックルの準備をする。皆さん#12のヘビーロッドに恐ろしく大きく丈夫そうなコルクドラッグのリールを装備されていて、自分のタックルが貧弱に見え心配になる。


今回お世話になった日ノ岬丸U。みんなまだ元気いっぱい

今回は日ノ岬丸Uというボートを4人でチャーターした。この船はクルーザータイプで船上に突起物が少なくフライを振り易そうだ。出航して釣り場に向かうまでの間、フライを流してハーリングを行う。早朝の透明感のある空気と開放感が心地よい。海の上で見る夜明けがきれいだ。周囲で何度かヨコワ(黒マグロの子)のジャンプがあり、初めてのオフショアゲームに期待に胸が膨らむ。釣り場はオフショアといっても、岸から数百〜数キロメートルしか離れていない。この付近にシイラが集まっているらしい。


海から見た日の出。綺麗だ

釣り場に到着してキャストを開始する。波はそれほど高くないのだが、風が強いせいか結構揺れる。船首に立ちキャストしようとするが揺れがひどく立っていられない、何度か転びそうになり、一回は海に落ちそうになった。危ないので船首のステップに座ってキャストすることにする。座っているのと、強風のためキャスティングが満足にできない。90フィートのST10Sをロッドから出してフォールスキャストすることができない。それでも風下に向かいめいっぱいホールすれば20m以上は飛ぶのだが、足元に落としたランニングラインが風に飛ばされてそこら中に絡まり釣りにならなくなる。トラブルを避けるため15m以上のキャストができない。ラインバスケットを持ってくるべきだった。そのため、キャストしてリトリーブするより、同船したルアーフィッシャーのルアーをチェイスして舟に近寄ってきたシイラを近距離で狙い打ちする作戦が有効だった。ルアーを船縁までチェイスして目標を失ったシイラはしばらく船の周囲を泳ぎ回る。数メートルの距離でそのシイラの動きを先読みしてフライを投げる。シイラにフライをアピールするためにはフライを水面に激しくたたきつけ、強く引き動かす必要があるそうだ。ラインシステムもフライも全く違うが、要領は渓流のポケットウォーターのたたき釣りに似ている。シイラとの遭遇は全部で5回あった。そしてそのうち3回は私のフライに反応したのだがヒットに至らず「ぼ」となった。

1回目
船尾で「シイラ!」の声。まもなく船首方向に向かう60cm位の数尾のシイラの群を確認。すぐにキャストして1尾がフライに反応したがバイトに至らず泳ぎ去っていった。生きて泳いでいるシイラを初めて見た。動きが早い!

2回目
再び「シイラ!」の声。今度のは大きい。1m近くありそうだ。最初のキャストですぐにフライに向かってきたが、見切られたのでピックアップしてもう一度キャスト。すぐにフライに反応するがこれも見切られる。さらに3度目でフライをシイラの前方にたたきつける。キャストのたびにジグザグに方向転換してフライに向かってくる。そして今度は水面のフライに食いついたように見えた。 「ヒット!」とフッキング動作に入ろうとするが残念ながら紙一重で空振り。わずか5秒足らずの短い出来事だったがとてもエキサイティングだった。あの美しいコバルトブルーの背中と黄色のヒレが頭に焼き付いて離れない。もしあれがもしフッキングしていたら、次に何が起こったのだろう・・・・ この調子ならいけると思ったのだが日が昇るにつれ活性が低くなり、後の2回の遭遇ではフライを見向きもしてくれなかった。
 

強風の中、揺れる船上で#10、#12のヘビータックルで何度も何度も海面をたたく。疲れる
3回目
日が昇ると全く反応がなくなる。強風の中延々とむなしくフライを打ち返すが非常に疲れる。同行した黒龍鱒伝さんはフライラインを全て出し流れにまかせる釣り方をしているので私もまねる。船が強風で流されているのでかなりのスピードでフライが動く。運が良ければ釣れるかもしれないと横着したがそう甘いものではなく、当たりは全くない。舟を移動するためフライラインを回収していたら、波間に見え隠れして後ろから何かがついてくる。よく見るとシイラではないか。あわててフライにアクションを付けるがすぐにいなくなった。結局これが最後のシイラで今回の釣行が終わった。


今回使ったフライ